こんにちは。ニクです。
今回はスワップ金利のサヤ取りにおけるOCO注文の問題点をご説明していきたいと思います。
ニク
OCO注文の問題点
前回の記事でもOCO注文の方法について下記のように述べています。
前回の記事から抜粋
両建てを行っているA社とB社にて、南アフリカランド円の現在レートが下記の値、またOCO注文で決済される価格を±0.7円と仮定します。
Bid 8.315 Ask 8.320
決済時には、売りポジションのA社は買い戻す必要があり、買いポジションのB社は売る必要があります。これに対し、±0.7円でOCO注文を入れたいので下記のように計算します。
8.315 +0.7 = 9.015
8.320 -0.7 = 7.620
つまり、下記のように各証券会社でOCO注文を入れたら良いということになります。
買いポジション:9.015で利確、7.620で損切り
売りポジション:7.620円で利確、9.015で損切り
上記のOCO注文の問題点
OCO注文では買いポジションと売りポジションが同じ価格で利確あるいは損切りされるように指定したはずですが、実際には同じ価格で決済されないリスクがあるためです。
なぜかというとポジションの決済を行う場合は、買いポジションの場合は売り(Bid)、売りポジションの場合は買い(Ask)を行います。しかし、BidとAskはそれぞれに価格が提示されており、同価格ではないためです。
Bid=売る時の価格
Ask=買う時の価格
Bid(売る価格)とAsk(買う価格)は、Bid<Askとなります。
また、スワップ金利のサヤ取りは二社のFX業者を利用しており、各社の提示価格とスプレッド(BidとAskの差)は異なります。これにより、下記のような状態が生じます。
A社(買いポジション)
Bid 8.315 Ask 8.320
B社(売りポジション)
Bid 8.310 Ask 8.320
同時刻においては、買いポジションのA社は売る時の価格8.315が、売りポジションのB社は買う時の価格8.320を見ることになり、8.320-8.315=0.005の差が発生しています。
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り
仮にOCO注文を上記のように指定していた場合、買いポジションのA社だけが損切りされ、売りポジションのB社の建玉は残ったままとなってしまいます。
さらに詳しくみていきましょう。
レートが上がった場合
レートが上がり続けた場合(問題がないケース)
OCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
現在レート
Bid 9.010 Ask 9.015
上記のように仮定します。
Bid<Askとなるため、売りポジションのAskが先に決済(損切り)されます。その後もレートが上がり続けた場合は、買いポジションのBidが決済されます。この場合は、売りポジション・買いポジションともに同価格にて決済されるため問題はありません。
レートが上がって下がった場合(問題が起こるケース)
OCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
現在レート
Bid 9.010 Ask 9.015
上記のように仮定します。
レートが上がり、Ask値が9.015に達したため、売りポジションは9.015で決済(損切り)されます。
しかし、この後レートが下がるため、買いポジションは決済されないまま残ります。
この場合、損切りだけが機能し、利確がなされずレートが下がるため、損失が膨らむこととなります。
レートが下がった場合
レートが下がり続けた場合(問題ないケース)
OCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
現在レート
Bid 8.315 Ask 8.320
上記のように仮定します。
Bid<Askとなるため、買いポジションのBidが先に決済(損切り)されます。その後もレートが下がり続けた場合は、売りポジションのAskが決済されます。この場合は、売りポジション・買いポジションともに同価格にて決済されるため問題はありません。
レートが下がって上がった場合(問題が起こるケース)
OCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
現在レート
Bid 8.315 Ask 8.320
上記のように仮定します。
レートが下がり、Ask値が8.315に達したため、買いポジションは8.315で決済(損切り)されます。
しかし、この後レートが上がる、売りポジションは決済されないまま残ります。
この場合、損切りだけが機能し、利確がなされずレートが下がるため、損失が膨らむこととなります。
OCO注文の問題点の解消法
OCO注文の問題点は、Bid<Askとなることにより、損切りの決済だけが先に行われてしまうことです。
これを解消するには、同じタイミング(時刻)で決済されるようにしてあげれば良いのです。
下記のように指定しておくことで同じ時刻に決済されることを目指しますが、実際にはスプレッドは変動します。そのため、スプレッドより少し大きな値にしておくと決済タイミングが大きくずれることはありません。
レートが上がって下がった場合
レートが上がって下がった場合に問題が起きるケースでは、先に売りポジション(Ask)が損切りされ、買いポジション(Bid)が残ってしまうという問題点がありました。それを解消するにはどうすればいいでしょうか?
BidとAskの価格差は0.005です。この場合、売りポジションの決済値を「Ask+0.005(スプレッド以上)」と指定すれば同時刻に決済が行われます。
現在レート
Bid 9.010 Ask 9.015
OCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
調整後のOCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.020で損切り(Askの価格を読む)
レートが下がって上がった場合
レートが下がって上がった場合に問題が起きるケースでは、先に買いポジション(Bid)が損切りされ、売りポジション(Ask)が残ってしまうという問題点がありました。それを解消するにはどうすればいいでしょうか?
BidとAskの価格差は0.005です。この場合、買いポジションの決済値を「Ask+0.005(スプレッド以上)」と指定すれば同時刻に決済が行われます。
現在レート
Bid 8.315 Ask 8.320
OCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.315円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
調整後のOCO注文
買いポジション:9.015で利確、8.315で損切り(Bidの価格を読む)
売りポジション:8.320円で利確、9.015で損切り(Askの価格を読む)
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